第6話
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値引きの交渉もせず、特典の懇願もせず、まさかの一発購入を決めた私の職業は、当時は売れない営業マンでした。
売れなかった理由が解かりますよね。
思わぬおいしいお客に、かなりびっくりしたような不動産屋の営業マンでしたが、私が購入すると決めたら迅速に動き始めました。
「では、これからお時間はありますか?」
と聞かれ、そのまま不動産屋へ直行することになります。
この時はとても浮かれていましたし、自分自身がマンションの主になることを意識していましたので、その後に訪れる試練のことなど考えもしませんでした。
ここから、私のマンション購入記は様々な展開を見せ始めます。
まずは手付金から!?
喜び勇んで、不動産屋へ直行した私たち夫婦。
不動産屋へ着いてから、キレイな部屋に通されて、事務の方がコーヒーを持ってきてくれました。
凄いですよね。
とても丁重な扱いを受けます。
似たようなケースとしては、自動車のディーラーで契約するときの対応くらいではないでしょうか。
担当者が、色々な資料とかを持ってきて説明を始めます。
ここでの説明は、事務的な話が多かったように思えます。
契約上の注意事項とか、支払いの件についてです。
あまり面白い話ではありませんが、一応はしっかり聞いたつもりです。(すぐに忘れましたが)
そして、本題に入ります。
不動産屋(以下、不)「こちらのお支払いは、ローンでよろしいですか?」
私「もちろんです」
と、何故か自信満々に答えていますが、この直後にテンションが下がります。
不「まずは手付金ということで、50万円を用意していただきます」
私「???」
このとき私は知らなかったのですが、不動産の購入の意思を決めた時には、まず最初に手付金という一時的に支払うお金が必要になるということでした。
いきなりの大きな金額です。
何せ、50万円なんて直接手渡ししたことなどありませんし、口座から引き出したこともありません。
お金の話になると、やっぱりビビるのが私の悪い癖で、一瞬「騙されているんじゃないか?」と思いました。
でも、これは本当に必要なお金になりますので、これから不動産を購入される方は注意しておきましょう。
私の場合は50万円でしたが、これは1500万円の中古マンションという安めの物件であることと、不動産屋が低く抑えてくれたからだと思います。
通常では物件の金額の10%が相場という話しですので、1500万円であれば150万円、3000万円であれば300万円が必要ということになるようです。
とりあえず、奥さんの顔色をうかがうと
「それはいつまでに支払えば良いのですか?」
私に代わって、とても毅然とした態度で答えてくれました。
こんな時に、女性は本当に逞しくなるのですね。(私が頼りないだけですが)
不「できる限り早めにお願いしたいのですが、数日以内に…」
奥さん「では、本日中に準備します」
おおー!!
ここまで私は話を聞いているだけ、契約書は私が記入するのですが、ちょっと手が震えました。
その後は、近所の銀行まで夫婦で行き、お金を下ろしてから再び不動産屋へ戻りました。
思わぬ手付金という金額に一瞬はびっくりしましたが、これで何とか契約まで進めます。
あとは銀行でローンを組むだけ…
ちょっと待ってください。
ローンですよね!?
私、住宅ローンが通るのか分からないのですが……
恐怖の始まり…ローン
皆さんはローンと聞いて、どんなことを思い浮かべますか?
「そんなの別に大した問題ではないでしょ!」
と言う人もいれば
「ローンなんてとんでもない!!」
と顔色を変える人もいると思います。
私は、このどちらでもなくて
「ローンか……大丈夫かな………」
という心配でした。
冒頭でも書きましたが、私はこの当時、地方の中小企業に勤める売れない営業マンでした。
「売れない」というのは決して謙遜などではなく、本当にそうだったからです。
上司からは、ほぼ毎日怒鳴られていました。
一応は社交性があるらしく、必要最低限のノルマをこなしていましたが、ほとんどが運頼みでした。
自分に実力があるか無いかも、数年働けば解かってきます。
私は後から入社してきた後輩に、何度も追い抜かされてきました。
そんな私もそろそろ営業から降ろされて、内勤に回される話が進んでいました。
通常内勤と言えば出世して管理職になるはずですが、あまりにも仕事ができなければ、窓際の部署に回されます。
後輩よりも売れないのですから仕方ありません。
しばらく前から、私はある程度は内勤の業務を練習がてらに手伝わされていましたので、覚悟はしていました。
そんな業務をこなしている中で、私はローンの担当者と話をする機会があり、色々と内情を聞く機会を得ました。
本当かどうかは解かりませんが、ローンの審査が通る人と通らない人には理由があるそうです。
ブラックリストというものは実際には存在しない、と言われていますが、ローン会社は相手の過去の実績などを必ず調べます。
世の中には信用調査機関という組織がありますので、そこで個人の過去を調べることができるのです。
お金を貸す側としたら、相手の過去を調べるのは当然のことです。
そこで調べることは、現在の勤め先、勤続年数、現在の収入、そして過去の借金の状況です。
ローンを組むということは、借金をするということです。
借金は返すのが当然ですので、返していなければ事故扱いされることになります。
一回くらいなら忘れることもあるかもしれませんが、何回も返済が遅れていれば信用度は下がります。
それが信用調査機関に情報として蓄積され、その人の実績として残ることになるのです。
仮に過去にローンをまったく返済していなければ、世に言うブラック扱いになり、ローンの審査が通ることはありません。
これが日本のシステムになり、現実に生活をしていく上での信用と呼ばれるものになります。
余談ですが、今まで些細なローンすら一度も組んだことがなく、クレジットカードも作っていないという方は、この信用情報に記載がされません。
そのため信用度が未知数になり、初めて受ける自動車や住宅などの大金がかかるローン審査では、落とされることがあるそうです。
おかしな話ですね。
ここまでは、結構知られていることだと思います。
ただ私の聞いた噂では、過去に消費者〇融系にお金を借りたことのある人は、返済のある無しに関係なく、銀行ではローンが下りにくいという話でした。
これも本当のところは解かりません。
実際にはローンも通るかもしれませんし、通らないかもしれません。
この話自体、既に10年程前のことになりますし、現在では規定も変わっていると思います。
しかしこの当時は、そのような噂話が囁かれていました。
私が当時の会社で仕事上関わっていたのは、信販会社です。
そうです、銀行ではありません。
通常、銀行と言うところは、信販会社よりもローンの審査が厳しいことで有名です。
ほんの少しの問題すら、銀行のローン担当者は見逃さないでしょう。
そのため、この話を聞いていた私は、とても不安を感じていました。
何故なら私は、消〇者金融からお金を借りたことがあるからです。
しかも、その話を奥さんはまだ知らなかったのです…
